ロータリークラブ(国際ロータリー第2760地区 ROTARY International District 2760)

月信WEB

2016年12月号

疾病予防と治療月間

「疾病予防と治療」月間に寄せて

地区職業研修チーム委員会 委員長  福田哲三

gekkan1.jpg 職業研修チーム委員会では昨年度まで6 年続けて医療専門家チームを海外に派遣して実務研修を行ってきました。この職業研修チーム(VTT: Vocational TrainingTeam)プログラムは、1965 年から45 年に渡って続いた研究グループ交換(GSE:Group Study Exchange)に代わって、2010 / 11 年度のロータリー財団「未来の夢計画」開始とともに始まり、3 年間のパイロット期間(試験期間)を経て2013 /14 より全世界でスタートしました。世界530 余地区の中から100 地区の中の1 つに選ばれた当地区では、世界に先駆けて「疾病予防と治療」をテーマとしたVTT 事業(グローバル補助金)に取り組み、医師や看護師など医療専門メンバーを海外に派遣(あるいは受入れ)してきました。
gekkan2.jpg 3 年間のパイロット期間終了後の2013 / 14 年度以降は特にアジアでの医療サービスの向上を目指してフィリピン(3780 地区)、マレーシア(3310 地区)、インドネシア(3410 地区)との間でVTT 事業を行いました。こうして6 年連続してVTT 事業を実施しているのは世界でも当地区だけですが、これもひとえに地区内の医療機関の皆さんのご協力のおかげです。旅費と交通費、食費はロータリー側で負担しますが、派遣メンバーの日当はありません。無償奉仕です。つまり我々の代わりに「職業奉仕」を行っていただいているのです。派遣元の医療機関の皆さんの善意と派遣メンバーの熱意に深く感謝します。毎回、派遣メンバーの皆さんが見せてくれる並々ならぬ意気込みは現地で研修に関わったすべての人々のハートに強烈な印象を与えてくれています。
gekkan3.jpg フィリピン・ケソン市では「腹腔鏡手術の技術指導」(2014 年3 月)、マレーシア・コタキナバル(ボルネオ島)とインドネシア・ジャカルタでは「院内感染の予防管理」(2015 年5 月& 2016 年5 月)の研修を実施しました。フィリピンでは世界で初めて現地政府から正式に臨時医師免許を取得して実際にオペを行っての指導、マレーシアとインドネシアでは複数の医療施設できめ細かい実務的な技術指導を行
いました。VTT事業は両地区のガバナーも深くかかわる地区事業として実施しており、研修後も現地ロータリアンたちによる継続的なフォローアップを義務付けています。田中正規ガバナー(フィリピン)、近藤雄亮ガバナー(マレーシア)、加藤陽一ガバナー(インドネシア)と毎年ガバナーには現地入りしていただき、研修視察とともに相手地区ガバナーを含めたロータリアンたちとの親睦にご尽力いただいています。このように事業を重ねるたびに海外に当地区と関わりの深い友好地区が増えていくのもグローバル補助金の仕組みの「妙」であると感じています。
 さて、今年度は3 年前のフィリピン3780 地区での事業をさらにフォローアップするために再び腹腔鏡手術の技gekkan4.jpg術指導を行います。来る12 月10 日から18 日までが現地ケソン市立病院での研修、来年1 月14 日から22 日までが当地区内での研修です。当地区からは外科医4 名、看護師1 名、臨床工学技士1 名の6 名を派遣、3780 地区からは麻酔科医1名、外科医3 名、看護師1名の5 名を受入れる予定です。今回も派遣時には服部良男ガバナーや中村公彦R財団委員長にも現地入りしていただきます。
 少し話は変わりますが、アジアの国々などではロータリークラブが所有する「移動診療車」あるいは「移動手術車」が多数あります。日常的(主に週gekkan5.jpg末)に医療施設の乏しい農村部に出向いて無料で診療や手術を行っています。医師や看護師、薬剤師たちはロータリアンや一般のボランティアです。また台風や洪水
などの災害時には遠方まで出向いて救急医療を行います。簡単な手術を行える移動診療車を3 台も所有しているクラブもあります。このような海外のクラブと提携して、車輛の維持費など資金面で移動診療プログラムに協力するのも我々が日本に居ながら行える「疾病予防と治療」への貢献の一つだと思います。