識字率向上月間によせて  地区社会奉仕委員会 委員長 石田 弘幸
 世界の人口60億人のうち、幼少者を除いた40数億人、その約4分の1にあたる9〜10億人近い人たちが、非識字者といわれています。
 その大部分は開発途上国、とりわけアジアの貧しい住民、しかも女性が主体といわれています。
 貧しさ、古い因習、性差別の中で、未だ文明文化の光が当らない暗部といえます。
 特に非識字者の主流を占める途上国の女性の問題は、人口増加の抑制のカギを握るといわれています。
 家庭、地域、ひいては国家の人口計画と実践は、女性の教育、認識、対応そのものにかかっている重要問題で、世界全体の食糧、経済、平和の問題に深く関わっているといえましょう。
 字が読めない、書けないという文字情報からの遮断は、とりもなおさず教育、文化、政治、経済からも取り残され、貧困で悲惨な環境にあえぐことそのものにつながっている事実です。
 国際ロータリーは、これを最重要課題として1997年から毎年7月を識字率強調月間として指定し、活動を展開してきています。
 RIでの最近の活動は集中語学訓練(CLE)を基本として、女子教育を中心にストリートチルドレン、移民、囚人にも活動対象を拡げてきています。いずれも世界社会奉仕として重要な活動であります。
 さて非識字者の国内問題としては、何といっても急増している在日外国人の人達の日本語習得のことと思います。日本の産業の海外進出が増えたといっても、国内の労働力需要は、単純、技能ともかなり根強いといえましょう。郷に入らば郷に従い・・・という前に、言葉の違い、風習の違い、ものの見方、考え方まで含めての国際理解は大変重要なことは自明です。とりわけ言葉、文字の習得は、最初の大問題であり、大変な困難を伴います。
 かつて北米、南米へ移民した日本人一世の相当数が外国語習得の難しさから、限られた狭い日本人社会の中に留まざるを得なかったといわれるのも当然だと思います。
 日本一の工業県、愛知県は在日外国人の多さは群を抜いています。私たちロータリアンは特に地域状況を積極的に把握し、ニーズがあれば必要な対応をぜひ心がけたいものであります。
 識字率向上月間に因んで、RIとしてポリオ撲滅活動に続く世界的大事業について雑駁乍ら触れた次第であります。