【講演】「人生とは役立つこと」(豊橋南ロータリークラブ)

20120730_toyohashiminami_1.JPG株式会社ティア 代表取締役社長 冨安 徳久 様

皆さんこんにちは。コマーシャルでおなじみのティアの代表の冨安でございます。私がこの仕事を独立しようと思ったのは30歳の時です。その時、この業界の常識は全部非常識だと思って、今まで葬儀業界がやっていない事をやろうと考えました。全ての価格を改正し、適正な価格にしようとしました。葬儀社が決めた勝手な価格で、分からない消費者に提示するという消費者に対して「説得できる商売」だったんです。私はそれを「納得頂ける商売」に変えていこうと思ったんです。個別訪問をして、会員になって下さいとかうちの葬儀は安いですといった話をしに行くのではなくて、理念を話に行こうと思いました。消費者の為に何をしようとしているのかという思い・理念を話にいくという「理念営業」をしておりました。当時そんなにお金もなかったのでチラシだけ大量に作って理念営業という所に徹底的にこだわって、個別訪問をしておりました。
最初、僕は大学入学前のアルバイトで偶々葬儀ビジネスに出会いました。世の為人の為に役立つバイトだ、と何のアルバイトか言われず時給につられて行きました。僕の家庭はとにかく「自立する」ということを家庭教育の中で何度となく言われていました。また、「人の為に生きなさい」ということも同じくらい言われていましたので、「世の為人の為」という所に反応し、アルバイトをすることになりました。祭壇をトラックに積んでいき設置して、葬儀が終わったら片づけをするというような内容でした。少し経って仕事にも慣れてきたある日、葬儀が終わって遺族と社員の人の話を耳にする機会がありました。遺族の人が、社員の手を取って涙ながらに感謝の言葉を述べているんです。こんなに感謝される仕事なのかと思いました。私は飾ったり片づけをするだけでしたので、感謝されることなんてなかったんです。こんなに人の為になる仕事なのだと思い、先輩の感謝されている後ろ姿を見て、すぐに会社に戻って荷物を整理した後、店長のところに行きました。お通夜も葬儀も全て先輩のようにやりたいんですと言ったら、それは社員にならなきゃだめだと言うので、私はその場で間髪を入れず社員にして下さいと言いました。店長にはこのままアルバイトを続けて、大学を卒業してそれでもと思ったら来ればいいと言われましたが、大学に何の為に行くかわからずにいた私は、まったく迷いはありませんでした。そのまま社員にしていただきまして今34年目に入っております。
世の中にはこれで生きて行くんだと決めることができずに生きている人がいっぱいいますが、やってみなければ分かりません。ぼくも葬儀ビジネスが天職を超えて天命になるなんて思いもしませんでした。でもやってみたらそこにその仕事の意義と意味と役割があった訳です。
ティアには4大定義というのがあり、「人生とは役立つこと」と決めています。仕事とは何ぞや・働くとは何ぞやということは、人生とは役立つことだから、役立つ手段と方法がこの働くということです。感謝の思いで大切な人を送って頂くというという事を仕事・生業として働いて自分の人生を役立てるのだから、仕事を役立てること・ティアの葬儀ビジネスに関わることは自分の人生を役立つ人生にするための手段と方法であり、会社はそれをやるだけの場所という位置づけなんです。
また、「命とは何ぞや」という定義づけもしています。
自分に与えられた命は誰かの為・何かの為に使う時間の事であると定義しています。何が出来るか、それは分かりません。だけど仕事というものを通じてその意味と意義と役割が分かって、自分がその仕事に関わることがその先の世の中の誰かの為・何かの為に役立っているんだという理念を理解した時には、そのやっていること自体がもう命を役立たせているんだよということが理解してもらえるんです。
何のために働いているのかという事をちゃんと理解して、この仕事を通じて世の中に何をしたいのかという事を理解させる。人間は忘れてしまうので、忘れないように繰り返すという事を徹底的に会社がやり続けた時、作業としての仕事ではなくちゃんと志を持って目的を持って働く「志事」になってくると思うんです。そして誰かの為に尽くし役立つ「尽生」になるのだと思います。皆様方にお伝えできるチャンスを頂いたこの御縁に深く感謝申し上げて私の講演を終了したいと思います。