第1回クラブ新世代委員長会議における地区青少年委員会報告


1.委員長報告 10-11年度の委員会活動について
森地区青少年委員長より10-11年度の活動について報告があった。
2010年8月に6名の学生を受け入れ、現在2760地区には8名の留学生(2名は春来日)が、一宮北(ブラジル)、名古屋名駅フィンランド)、稲沢(フランス)、一宮中央(ブラジル)、瀬戸(アメリカ)、尾張旭(カナダ)、刈谷(オーストラリア)、名古屋大須(オーストラリア)各RCにホストされ元気に高校に通っている。
また、8月には地区内の8名の学生が世界へと旅立ち、「小さな親善大使」としてそれぞれの地区で留学生活を送っている。
さらに7月31日に実施した11-12年度の派遣候補生選考試験の結果、3名の学生が合格し、今後1年間、地区の代表として立派に留学生活が送れるようオリエンテーションを通じて指導していく。
あわせて、今後もロータリーが提供する安全で安価なこの青少年交換プログラムへの
各ロータリークラブの積極的な協力をお願いした。

2.帰国生の体験談発表
 昨年8月に当地区からスイスに派遣され、本年7月に帰国した愛知県立阿久比高校2年安藤美有さん(スポンサークラブ:東知多RC)から、滞在中の体験やロータリーの青少年交換プログラムのよさについて報告があった。

安藤美有さん発表要旨

地区ロータリー新世代委員会会長の皆様こんにちは。
私はロータリー青少年交換委員会で2009年から2010年の1年間スイスに派遣させていただいた安藤美有といいます。愛知県ロータリーの皆様の支援のおかげで昨年度の海外派遣生は皆各派遣先の国々で素晴らしい経験をし、そして無事に帰国することが出来ました。皆様には本当に感謝しております。ありがとうございました。
そして今日はこの場をすこしお借りして、私がこの1年の留学生活、そして青少年交換プログラムから学んだことを発表させていただきます。
まず、スイスに派遣させていただいたので、スイスのことを少しお話しします。スイスで使われている言語は割合が多い順にドイツ語、フランス語、イタリア語、そしてロマンシュ語です。ドイツ語圏で有名な町は首都のベルン、チューリッヒそしてバーゼルあたりです。ジュネーヴはフランス語圏です。私が滞在していた町はチューリッヒに近いLenzburgという町だったのでドイツ語圏でした。かといって地元の人があいさつをする時にGuten Tagなんていうことはまずありません。スイス人はドイツ人が大嫌いなので話すドイツ語もスイスドイツ語という方言でした。「日本で勉強していってもネイティブの人の発音は聞き取れない」とよく言われますが、私の場合発音どころか言語自体が全く別のものだったので慣れるまでに約7ヶ月8ヶ月しました。それとスイスでは小学校で既にフランス語を学びます。英語を学び始めるのは大体日本と同じで中学校からです。高校ではさらにイタリア語、スペイン語を選択することが出来ます。そのせいかスイス人はやたら各国の言葉を話し理解することができます。そういったとき、日本の学習制度に少し不安を感じました。
次に食事ですが、スイスでは主食はパンかパスタで毎食チーズが付いてきます。世界でも知られているチーズフォンデュは冬の料理で冷えた体を温めるための料理です。ですが「多くの日本人観光客は夏に来て、ものすごい日差しの中汗をかきながらチーズフォンデュを食べている」とスイス人のいい笑いのネタになっていました。雪山にスカートで行く日本人女性観光客などもよくネタにされていました。
スイスといえば永世中立国としても知られています。日本のテレビ番組で見たことがあるのが、「スイスの一般家庭にはいつでも戦いに出られるようにライフル銃があり、また核シェルターも各家庭に設置されている」というものでしたが、全ホストファミリーの家を探し回ってもライフル銃を見つけることは出来ませんでした。しかしスイス人男性には徴兵令があり20歳になると半年から1年ほど軍基地で訓練を受けるそうです。いつでも戦いに出られるようにという考えは本当のようです。私の通っていた学校の近くにその訓練地があり、よく迷彩服を来て銃を持った人を見かけました。一度電車の中で近くに軍人が立っていて、ライフル銃のようなものが足に当たった時は驚きましたし少し怖かったです。日本ではまず経験できないかと思います。なお女性には徴兵令は出されていませんが、希望があれば銃ではなくナイフを使った訓練を受けることができるそうです。核シェルターというほど立派なものではありませんが、一軒家の場合は全ての家に地下室があります。普段は洗濯をしたり、物置やワインセラーだったりしますが何かあったときの避難所として設置されているのかもしれません。日本のように地震の多い国では逆に危険ですが…。
そして日本で知られているようにスイスは自然の溢れる美しい国です。ヨーロッパの綺麗な町並みも東西南北で違っているのでそれを見ているだけでも十分楽しめて、チューリッヒやベルン、ジュネーヴなどの大きな町には綺麗な川も流れています。名古屋を流れる堀川よりも絶対にきれいだと思います。そしてどの町に行っても必ず山や綺麗な川があるのもやはり自然と共存していると感じます。日本の私の同世代のひと達で自然に興味があるという人はあまりいないように感じますが、やはり自然に囲まれているととてもリラックスできるし開放感溢れる生活が出来ます。集合住宅やビルに囲まれた日本の生活と全く違うと身をもって感じました。休日に友達と買い物に行ったり、カラオケに行ったりという日本の若者には当たり前の過ごし方も私は好きですが、日陰でのんびり昼寝したり庭でご飯を食べたりまったり過ごすのもいいなと感じました。
ですが何もスイスが日本よりもいいことばかりというわけではありません。
留学というのはその国の文化を学ぶだけでなく、母国を客観的に見ることが出来るきっかけにもなります。スイスに留学していると日本文化が素晴らしいと気付きました。たとえばヨーロッパの料理はおいしいなどと言われていますが、おいしいのは確かです。ですが栄養バランス面や見た目などを考えると日本食はどの過程においても本当に素晴らしいと思います。それに日本の古い建造物や日本庭園、温泉などの日本文化は本当に世界で評価されてもいいと思いました。とにかく言葉では言い尽くせないほど日本のよさに気付きました。その中には日本で生活していてはおそらく気付かないようなものもあると思います。私は留学したことで日本人であることに誇りを感じました。日本人は愛国心を持たな過ぎると思います。世界中のロータリー留学生と交流していると、各国の留学生が皆母国への愛国心を持っていて、その国の国民であることを主張し自慢してきます。私ははじめ、日本の何が自慢できるのか分かりませんでした。寧ろ外国の人たちの方が良く知っているという、日本人として非常に恥ずかしい思いをしました。皆さんは日本の自慢できるようなことがすぐに浮かびますか。TOYOTAなどの日本車、テレビやカメラなどの電化製品も確かに海外に多く出回っています。ですがそんなかたいことでなくてもさっきも言ったとおり日本食であったり温泉であったり、日本語も立派な自慢できることの一つです。塾に通ったりして日本語を学んでいるというスイス人もたくさんいました。
そして私は思いました、もしもっとたくさん、例えば日本国民全員が日本に愛国心を持ったら日本は大きく変わると。現在の日本はほぼ毎年のように総理大臣がかわり国会はめちゃくちゃ、政治は実に不透明で不安定。国民の多くは政治には無関心。それでは日本はどんどんめちゃくちゃになります。ですが愛国心を持った人が増えれば国民は国を大切にし、もっと日本の未来について考えられるようになると思うのです。私は日本のことをたくさんアピールしてきましたが、残念ながら日本の政治や経済状況については多く語れませんでした。それは日本の不安定な政治状況を説明するのが恥ずかしかったというわけではなく、単に私が日本の政治に無関心であったというだけの話であり、自分が日本の国民でありながら国の未来に全く無関心であることを痛感しました。私は今でも十分世界に自慢できる日本がこれからは内側も外側も自慢できるような素晴らしい母国になってくれることを願います。そして私は日本国民の一人として恥ずかしくないような人になりたいと思います。
長々と語ってしまいましたが、このスイスでの留学で得たものは本当に数え切れないほどあり、それは私というに人間を大きく変えるきっかけになりました。今こうしてこの場でお話しているのもそのおかげだと私は思います。留学中に出会った各国の友達も留学中だけの関係ではなく、もしかしたら彼らの存在がこれからの私の未来を大きく変えることになるかもしれません。語学とは違い、友達や人との縁は時間が経っても消えることはありません。その点においてもこの留学は私に大切なものを与えてくれたとおもいます。
青少年交換プログラムは留学したら終わりではなく、これから私は帰国生、いわゆる先輩という立場でこれから派遣される人たちや日本に派遣されてくる留学生たちを支えるROTEXとして活動を始めます。しかし残念ながら今年の派遣候補生はたったの3人、もっと多くの人たちがこのプログラムを知り、派遣生として日本の外で貴重な体験をたくさんしてきて、そして青少年交換プログラムの素晴らしさを多くの人々に伝えていってくれるようになって欲しいと思います。スイスでの1年間は本当に人生の宝とも言える貴重で素晴らしい1年でした。この青少年交換プログラムを支援してくださっているロータリーの皆様には本当に感謝の気持ちで一杯です。
長い話を最後まで聞いてくださりありがとうございました。


→地区新世代委員長会議報告へ戻る